HERMÈS

エルメスが「セール」を一切しない理由、価値を守るための頑固な哲学

yhongo

世界中のブランドがセールを行う時代に、エルメスだけはセールを一切行いません。ブラックフライデーも、年末セールも、創業記念セールも存在しません。なぜエルメスはこれほど頑固にセールを拒否し続けるのか。その理由を知ると、エルメスというブランドが守ろうとしているものの本質が見えてきます。

エルメスが一度もセールをしたことがない理由

エルメスが創業以来一度もセールを行っていない理由は、値引きがブランドの価値を根本から破壊するという哲学にあります。

ラグジュアリーブランドにとって価格は単なる数字ではありません。価格はブランドの価値の表明です。定価100万円のバッグが50万円でセールされた瞬間、そのバッグの「本当の価値」は50万円だったという印象を与えます。定価で購入した顧客は裏切られたと感じ、ブランドへの信頼が失われます。

エルメスはこの論理を最も厳格に適用しているブランドです。セールをしないことは短期的には売上機会の損失を意味しますが、長期的にはブランドの価値と顧客の信頼を守るための投資だという考え方が、創業以来一貫して受け継がれています。

参考:Business of Fashion「Why Hermès Never Has a Sale」

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売れ残りはどうなるのか

エルメスで売れ残った製品はセールで値引き販売されるのではなく、廃棄または分解して素材として再利用されます。

エルメスの店舗で一定期間売れなかった製品の扱いは、一般の小売業とは根本的に異なります。値引きして在庫を処分するという選択肢はエルメスには存在しません。

売れ残った製品は本社に回収され、状態によって廃棄または素材への分解が行われます。高品質の革は裁断して別の製品の素材として再利用され、金具は溶かして再加工されることもあります。一見すると非効率に見えるこの方法が、エルメスの価格の一貫性と希少性を守る仕組みの一部になっています。売れ残りを廃棄するコストは、ブランド価値を守るためのコストとして計上されています。

参考:Financial Times「What Hermès Does With Unsold Inventory」

セールをしないことが二次市場を育てた

エルメスがセールを行わないという方針は、結果的に活発な二次市場を育て、エルメス製品の資産価値を高める循環を生み出しています。

定価での購入機会が限られ、セールも存在しないエルメスの製品を手放したい場合、持ち主が頼れるのは二次市場です。買取業者やオークションを通じた二次市場は、エルメス製品の流通を支える重要なエコシステムになっています。

エルメスがセールをしないからこそ、二次市場でも高値が維持されます。定価の8割、時に定価を超える価格で取引されるエルメスの製品は、一次市場と二次市場が連動して価値を支え合う独自のエコシステムを形成しています。セールをしないという頑固な哲学が、結果的にエルメス製品を最も流動性の高いラグジュアリー資産の一つにしました。

参考:Vogue「How Hermès Created the Ultimate Resale Market」

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「頑固さ」がブランドの最大の強みになった理由

エルメスのセールをしないという方針は、短期的な売上を犠牲にしながら長期的なブランド価値を守るという、最も難しいビジネス判断の一つを180年以上継続してきた結果です。

多くのラグジュアリーブランドがセールに頼る誘惑に負ける中で、エルメスだけがこの方針を貫いてきました。景気後退期にも、競合がセールを行う時期にも、エルメスは定価を守り続けました。

この一貫性こそが、エルメスを他のラグジュアリーブランドと根本的に異なる存在にしています。ブランドの価値は製品の品質だけでなく、その価格への一貫したコミットメントによっても作られます。手元にあるエルメスの製品は、その180年のコミットメントが守り続けてきた価値を体現しています。

参考:Harper’s Bazaar「The Business Genius Behind Hermès No-Sale Policy」

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まとめ

エルメスがセールを一切しない理由は、値引きがブランドの価値を根本から破壊するという哲学にあります。売れ残りを廃棄してでも定価を守る徹底した姿勢、セールをしないことが活発な二次市場を育てた逆説、そして180年間この方針を貫いてきた一貫性こそがエルメスを唯一無二の存在にしています。手元にあるエルメスの製品には、その180年のコミットメントが宿っています。

ABOUT ME
この写真は、私が20年以上、冬になるたびに巻き続けているエルメスのマフラーのタグです。 時代や環境は変わっても、このマフラーが持つ上質さと身につけた瞬間の高揚感は、今も変わりません。少し柔らかくなった風合いには、長い時間と自分自身の歴史が刻まれています。 私にとってブランドは、意味のあるものを選び、手入れをしながら人生の一部にしていく体験そのものです。 当サイトが、あなたの10年後、20年後のストーリーのお役に立てれば嬉しいです。
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