グッチの「グリーン・レッド・グリーン」ストライプが馬具から来ている理由
グッチのバッグやシューズに使われるグリーン・レッド・グリーンのストライプを見たことがない人はいません。しかしこの三色のストライプが馬具から来ていることを知っている人は少ないです。創業者の馬具職人としての経験が、グッチを象徴する最もシンプルなデザインを生みました。その経緯を知ると、このストライプの見え方が根本から変わります。
ストライプの起源は馬の腹帯にあった
グッチのグリーン・レッド・グリーンのストライプは、馬の鞍を固定するための腹帯(ガース)のデザインから直接インスピレーションを得ています。
馬具職人の見習いとして働いたグッチオ・グッチは、馬の腹帯のデザインを毎日目にしていました。馬の鞍を固定するための腹帯には、伝統的にグリーンとレッドの組み合わせが使われていました。これはイギリスの乗馬文化に由来する配色で、グリーンが自然と乗馬フィールドを、レッドが英国の伝統的な狩猟スポーツを象徴していました。
グッチオはこの馬具の配色を、バッグのウェビングテープに転用しました。馬具の実用的なデザインをファッションに応用するという、ホースビットと同じ発想です。馬具職人の見習い時代に染み込んだ美意識が、グッチを象徴するストライプを生みました。
参考:Gucci公式「The Web Stripe: A Symbol of Gucci」

1950年代に登場した経緯
グッチのグリーン・レッド・グリーンストライプが製品に初めて使われたのは1950年代であり、竹ハンドルバッグやホースビットローファーと同じ時期に、グッチのアイコニックなデザイン言語が確立されました。
1950年代のグッチは、創業者グッチオの死後に息子たちがブランドの方向性を確立していく重要な時期でした。ホースビットローファー、竹ハンドルバッグ、そしてグリーン・レッド・グリーンのストライプ。これらはすべてこの時期に生まれたグッチのアイコニックなデザイン要素です。
ストライプはまずバッグのハンドル部分のウェビングテープとして使われ始めました。革のハンドルと組み合わせることで、馬具のディテールをさりげなくファッションに取り込むという、グッチらしいアプローチが確立されました。
参考:Vogue「The History of the Gucci Web Stripe」
ジャッキーバッグとストライプの関係

グッチのグリーン・レッド・グリーンストライプを世界的に有名にしたきっかけの一つは、ジャクリーン・ケネディ・オナシスがグッチのバッグを愛用したことでした。
1960年代、ジャクリーン・ケネディ・オナシスはグッチのバッグを頻繁に持ち歩いていました。彼女が特に愛用していたショルダーバッグは後に「ジャッキーバッグ」と呼ばれるようになり、グッチの最も象徴的な製品の一つになりました。
ジャッキーバッグにはグリーン・レッド・グリーンのストライプのウェビングテープが使われており、ジャクリーンがこのバッグを持つ写真が世界中に配信されたことで、グッチのストライプは世界的な認知度を得ました。世界で最も注目された女性の一人がグッチのストライプを選んだことが、このデザインの価値を決定づけました。
参考:Harper’s Bazaar「Jackie Kennedy and the Gucci Bag That Bears Her Name」

70年後も使われ続ける理由
グッチのグリーン・レッド・グリーンストライプは誕生から70年以上が経過した現在も、シューズ、バッグ、アパレルのあらゆる製品に使われており、グッチの最も普遍的なデザイン要素の一つです。
このストライプが70年以上使われ続けている理由は、シンプルさと識別性の完璧なバランスにあります。三色のストライプというシンプルな形でありながら、一目でグッチと識別できる。この条件を満たすデザインは、時代を超えて機能します。
アレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブディレクターを務めた時代には、このストライプを大胆に前面に出したデザインが若い世代にも支持されました。馬具職人の腹帯から生まれたデザインが、70年後にストリートファッションとも融合する。グッチオ・グッチの原体験がいかに普遍的な美意識を持っていたかを証明しています。
参考:Business of Fashion「The Enduring Power of the Gucci Web Stripe」

まとめ
グッチのグリーン・レッド・グリーンストライプは馬の腹帯のデザインから生まれました。馬具職人の見習いとして働いたグッチオの美意識が、1950年代にウェビングテープというデザインに結実し、ジャクリーン・ケネディの愛用によって世界的な認知度を得ました。70年後も時代を超えて使われ続けるこのストライプには、馬具から始まったグッチの原点が凝縮されています。

